＃老舗お菓子メーカー「ブルボン」様
株式会社ブルボン再生医科学研究所
製品名：ヒト多能性幹細胞(iPS/ES)用増殖制御培養液「Xyltech™ BOF-01」
お菓子×再生医療
今年100周年を迎えたお菓子の老舗メーカー株式会社ブルボン(以下、ブルボン)は、「ルマンド」「アルフォート」「チーズおかき」など、様々な魅力ある商品を世に送り出してきました。
そんな大手菓子メーカーのブルボンは、再生医療の分野でも活躍していることをご存じでしょうか？お菓子と医療にどのような結びつきがあるのか、不思議に思う方も多いでしょう。
今回の取材では、再生医療という全く異なる分野での展開について、そして今の医学生・若手医師へ向けてのメッセージを、株式会社ブルボンの代表取締役専務・吉田匡慶さん、先端研究所長・室橋直人さん、同 研究室長・滝澤佐季子さんに伺いました。
「糖」の研究の先に見えた培養液の開発
2006年、再生医療研究を行なっていた信州大学医学部教授・佐々木克典先生からの一通の手紙をきっかけに多能性幹細胞に出会ったことが、医療への挑戦の幕開けだったそうです。
「再生医療は今でこそホットな分野ですが、当時はまだiPS細胞が発見される前の認知度が低い時代で、研究としては未踏の領域だった」と語ります。
そんな領域に対して、「佐々木教授の熱い思いもあり、私たち菓子メーカーとしても新しい事業へ挑戦したいと考えました。食品に使われる『糖』の研究は会社の中で実施していましたが、in vitroの世界でこういう糖がどのように活用できるのか、スタート時点ではゴールを明確にイメージできていませんでした。その中で、私達に何ができるか？『糖』をもっと深く理解してみよう、という想いで取り組み始めました」と当時の心境を振り返ります。
ほとんどの培地はグルコースを炭素源にしているため、それを別の糖と置き換えて細胞を培養するというアイデアから研究を開始しました。その中、ある糖がマウスES細胞の多分化能を維持しつつ、増殖を抑制して培養ができるという新しい現象を発見したことが大きな進展だったそうです。
再生医療分野での展開と拡大の思い
「研究は面白い現象があればあるほど、じゃあなぜだろうと深堀りをしていく学術の世界ですが、そのようなシーズを事業で展開しようとした時には、ニーズとマッチするか？というのがとても重要です。事業としてどう継続・拡大をしていくかで難しさを感じる部分がありました」と語ります。
「医療の先生方には、『お菓子のブルボンだよね』と親和性を持って話を聞いていただけますが、試薬の事業については、『こんなこともしているんだ』と知らない方も多かったです。その中でヒアリングを続けて、先生方のニーズも徐々に把握でき、細胞の種類別にも対応できるよう、培養液のラインナップを増やしたことで、直接臨床にも近い部分で使えるなど幅が広がったことから、目を向けていただける機会も増えてきました。
加えて、医療技術の進歩は目覚ましく、我々が研究を開始したころと比較しても格段に速くなっています。それに付随するように、同じようなテーマを研究される方々の中での情報共有・拡散も速くなっているため、研究に有用なリソースであれば支持を集める傾向がありますし、なぜ支持をうけなかったかを分析することで、当社の不足部分もより明確に把握できるようになっていると感じます。」と、絶えず様々な種類の培養液の開発を続け、医療機関のニーズを叶えることで、医療界への進出の道も切り開いてきている現状についても語りました。
「この再生医療分野で積み重ねてきた知見やノウハウが我々の中にもあります。もっと再生医療が身近になり患者さんを直接的に助けられるような、そんな役立つ試薬の開発に携わりたいという想いがあります」と熱く語ります。
「ブルボン」は製菓への情熱もさることながら、
再生医療という分野からも今後の医療の発展に貢献するため、
さらなる展開・拡大の挑戦を続けています。
最後に…
医学生・若手医師へのメッセージ
今、医学を取り巻く環境は日進月歩で高度に発展していて、治療の選択肢もすごく増えています。再生医療分野には、日本にはなかった遺伝子治療技術まで入ってきており、取り扱いという部分では医師の方々はこれまでにはない大変さがあると感じます。再生医療では細胞が医薬品になります。『生きたもの』が治療薬となるため、取り扱いや設備を含めた環境の面からもまだまだ課題が多い中、医師の皆さんにいかにこういったものを使っていただけるかで再生医療の広がりは変わると私自身、肌で感じている部分があります。
すごく勉強することが多い医学生・医師の皆さんはとても大変だと思いますが、是非頑張って頂きたいと思います。
取材協力
株式会社ブルボン： https://www.bourbon.co.jp/
株式会社ブルボン再生医科学研究所： https://www.bourbon-barl.co.jp/
編集：BeyondUS株式会社 広報部
